政策的には地方創生の名のもと、様々な取り組みが行われています。もとより、ずいぶん前から「地域を活性化しよう」とか「地元を盛り上げよう」といった決まり文句のもと、日本全国で町おこしとか地域おこしといった取り組みがなされています。
こうしたことを聞くにつけ、果たして地域の活性化とは具体的には何を指すのだろうと以前から思っていました。それに向かって活動した結果、何をもって地域が活性化したという結論に至るのかということです。美辞麗句のもとに何となく盛り上がった気分になっているとすれば、時間とマンパワーとお金の無駄です。
これは例えば、私が以前東京や横浜に住んでいた際に商店街の活性化というテーマに取り組んだ時から引っ掛かっていたことでした。季節ごとにイベントを催す、その準備や当日の運営は大変な労力です。当日は多くの人が来て盛り上がったように見えますが、それを商店街の活性化というのかと。イベントが終われば商店街はもとの閑古鳥です。
この商店街の例で言えば、イベントは一時的な集客にはつながるがそれはあくまでもイベント目当てであって、その後継続的にその商店街で買い物をしようというきっかけにはならないということです。なぜ集客できるかというとその日だけはお得感がある訳で、その後は足を運ぶ魅力がないから閑古鳥となるわけです。イベント以前に個店の魅力を高める不断の努力が必要であるといつも感じていました。
地域の活性化とは何かという問いに対して、以前村上龍さんがテレビ番組で「それは雇用だ」という発言に対し、大きく頷いたものでした。私としては、その雇用を含め地域の活性化とは、「いつもそこに人がいること」だと思っています。つまり働き場を含め、その地に住む、それが産業や人の交流の相乗効果を生むということです。私たちが田舎暮らしを志すきっかけとなった玉村豊男さんの著書にもそうしたことが書いてありました。
以前からずっと思っていたことをなぜこの日に書いたのかというと、一つはこの日地元密着のフリーペーパーの方が見えてその編集方針をお聞きしたこと、もう一つは5年前の東日本大震災です。テレビでは特集番組が組まれていましたが、震災地の活性化というテーマの具体的内容の中に、やはりこの地に住んで働いてもらうことという、地元企業の経営者の話がありました。本当にそう思います。
少なくとも、イベントの一時的な集客をもって地域が活性化したなどということは言ってもらいたくないです。そのための予算も労力も無駄です。いや、それでもその時期だけは売上が上がるのだから必要だという地元経営者の声もあるかと思いますが、それはそれとして少なくともそれは地域の活性化とは違うと思います。
逆に、地域の活性化のためにイベントをやってくれといった行政からの要請があるといったことも聞いたことがありますが、まさにそこへの突っ込みどころとして、「地域の活性化とは一体何を指してそういう要請をするのですか?」と聞きたいくらいです。言葉だけが先行して中身が伴わない、しかもそこに余計な資源を投入しているとすれば、何とも避けたいものです。
2016年03月11日
地域の活性化とは何か
posted by bourbon_ueda at 00:00
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