2016年10月22日

都知事の座右の書を読んでみた

豊洲市場やオリンピックのことで小池都知事の動向が連日報道されていますが、少し前に自身が語った言葉が印象に残っています。それは、「座右の書は「失敗の本質」という本です」というものです。太平洋戦争を中心に当時の日本軍がかくも大敗を重ねてきたのはなぜかということを、組織論の観点から分析した本です。その存在は知っていましたが、今回これを機に読んでみました。

まず当時の6つの戦いについて詳細に振り返り、次になぜ失敗したのかということを検証し、最後にそこから得られる教訓は何かということをまとめた、実に読み応えのある本です。文庫本で約400ページもあります。引用して要約すると、失敗の原因は次のようなことです。特にアメリカとの対比で対照的とされています。

・目的が曖昧で多義であったこと
・戦略志向が短期的であったこと
・戦術が精神論に偏っていたこと
・組織としての合理性よりも人間関係を重視したこと
・情報が共有されず閉鎖的であったこと
・組織としての学習が既存の路線上に限られたこと
・業績評価が結果ではなく過程に重きが置かれていたこと

しかもこれらのことは現代の企業でも同じであり、それが業績不振や不祥事につながっている事例が多々あることは大いに納得できました。そしてこれは営利企業だけではなく、行政組織にも当てはまるのだと。マーケティングの大家コトラーも、マーケティングの適用範囲は学校や病院や行政などの非営利組織にまで及ぶと言っています。

これで思い出すのが、以前自民党で何かは忘れましがゴタゴタがあった際、当時の小池議員が「これじゃまるでガダルカナルだ」と発言していたことです。防衛大臣も務めた方ですから、ガダルカナル島の戦いについてのことかなと思っていましたが、この本の事例研究としてまさにこれが出てきているわけです。座右の書というのがこの発言の根底にあったということを、今回初めて理解しました。

小池都知事の発言にはよく経営用語が出てくることにも気付きます。例えば、競争のない世界を指すブルー・オーシャンとか。そしてこの座右の書にも当然経営用語がいろいろ出てきます。これからしても、だからああいう発言になるのだなということもよくわかりました。骨は折れますが、現代にも通ずるという意味でおすすめの本です。初版からもう25年も経っているのですけれどね。
posted by bourbon_ueda at 00:00 | Comment(0) | 田舎暮らし
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